頭隠して尻隠さず(あたまかくしてしりかくさず)

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ストーリー

ある小さな町がありました。この町の住人たちは真面目に働き、麦、布、土器などあらゆる商品の評判は良く、賢明な人々だと遠くの町々にも知れ渡っていました。しかし、町に住む一人の商人が、この評判を利用しようと考えました。

この商人、ヴィクターという名前の男は、町に新しい商品を紹介する計画を立てました。彼は広告を出し、新商品が「魔法のベール」に包まれた特別な布で作られていると主張しました。このベールは、賢い人々だけが見ることができ、愚かな者には見えないと言ったのです。

住人たちは驚きましたが、ヴィクターの説明に感銘を受け、この魔法のベールの布を購入しました。ヴィクターは彼らに高価な価格を請求し、彼らは喜んで支払いました。しかし、実際には何も特別なことのない普通の布でした。

ヴィクターは町の人々にこの布を売ることを続け彼らはすぐに魔法のベールは存在しないことに気づきました。しかし、彼らは自分たちの愚かさを認めることができませんでした。そして他の人々が魔法のベールを信じているからといって、自分たちも信じるふりをすることで愚かさを隠そうとしたのです。

ある日、町に旅行者がやってきました。町の人々が魔法のベールの布を購入し、見えないものを称賛していることに旅行者は気づきました。そこで彼はヴィクターの店に行き、魔法のベールの布を購入しました。

その夜、旅行者は町の広場でヴィクターと町の人々に会いました。彼はヴィクターの店から手に入れた魔法のベールを身につけ、町の人々に尋ねました。「あなたたち、私の魔法のベールを見ることができますか?」

町の人々は恥ずかしく、嘘をついて言いました、「もちろん、美しいベールが見えます。」

すると、旅行者は魔法のベールを見ることはできないと言いました。「私はただの布を身につけています。あなたたちは恥を知るべきです。」

町の人々は恥ずかしみ、その後はヴィクターの詐欺に騙されないようになりました。ヴィクターはこの町では商売ができないと町から出ていきました。(939文字)



「頭隠して尻隠さず」ということわざは自らの悪事や欠点などを部分的にしか隠していないにも関わらず、全部を隠しているつもりでいる様子を、愚かだとあざけっていう言葉です。
悪事を考えたり、欠点があるということは誰にでも持ち合わせていることです。何事にも誠実に正直であることが大事であると思いますが、どうしても隠したいことがある場合は、抜け目なくしっかりと隠しましょう(^^♪

補足情報

・このことわざを体現した有名な物語

  1. 「新しい着物の裁縫師」(The Emperor’s New Clothes): このアンデルセンの童話は「頭隠して尻隠さず」の典型的な物語です。人々が実際には何も見えないのに、他人の意見に流されて虚偽を支持する姿が描かれています。
  2. 「ガリオン王の新しい服」(The New Clothes of the King): ハンス・クリスチャン・アンデルセンの別の物語で、王様が詐欺師に騙され、見えない服を持っていると信じて裸でパレードに出るという内容です。この物語は「他人の意見に流されず、真実を見る勇気が大切」という教訓を提供しています。
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